愛用しているAstell & Kern SP1000 について、少し古い製品ならではの困った点や工夫が必要な点をまとめてみました。音質的にはまだまだ一級品の素晴らしいDAPだと思いますので、長く愛用するための参考になれば。
Amazon Music HDインストール
Open APP Serviceを用いて、Amazon Music HDのAndroidアプリをインストールして使うことになるわけですが、2024年現在、Amazon Music HD の再生には一工夫必要です。以下に注意点を説明していきます。
Astell & Kern の公式(英語)サイトを参照する
Astell & Kernの日本語サイトに記載されたバージョン(24.1.5)だと、SP1000で動作しません。

そこで、公式(英語)サイトに記載されているバージョンを使用します。
https://www.astellnkern.com/support/faq.jsp の内容から「Open App service」と検索すると最新の一覧が出てきます。


日本語のサイトは少し情報が古いみたい。
APK Pure以外のサイトからAPKの入手が必要
Astell & Kernが推奨しているAPKPureからは、2024年現在対応しているバージョン(22.15.13)がダウンロードできません。同じようなAPK配布サイトである、APK Combo等から入手しましょう。
https://apkcombo.com/ja/amazon-music/com.amazon.mp3/download/phone-22.15.13-apk
注意:Dolby Atmos の再生はできない模様
ULTRA HD音源(いわゆるハイレゾ音源)は再生可能ですが、Dolby Atmos音源の再生はできないようです。インストール可能なバージョンが古いからかもしれません。
参考:指定されたバージョンでないAPKを置いた場合
「サービス」に何も表示されません。指定のVersionしか受け付けない仕様なのかもしれません。
参考:XAPKのインストール方法
XAPKのインストール方法についての情報も2024現在Webサイトから見れなくなっています。
上記の方法で使う必要ありませんが、一応やり方を残しておきます。
- XAPK Manager 2.2.2をインストール
https://apkpure.com/jp/xapk-manager/com.apkfab.installer/download
- APKを置くフォルダ(「OpenService」フォルダ)にXAPKファイルを置く
- XAPK ManagerからINSTALLボタンを押してインストール
例えば、これで24.1.5 のXAPKファイルをダウンロードしインストール…はうまくいきませんでした。
「App not installed」という表示がなされて先に進みません。
4.4mmバランス出力の追加
2024年現在、バランス出力の主流は4.4mmコネクタに移った感があります。後継機のSP3000にも4.4mmコネクタが追加された他、KANN ULTRAに至っては4.4mm コネクタだけになっていたりします。
そんな中本機のバランス出力は2.5mmしかありません。
…でも大丈夫。Astell & Kern製のプレーヤーに使える、2.5mmと3.5mm 出力を使って4.4mmに変換するアダプターがあり、これが音質や接続の安定感からおススメです。
同等の機能を持つ製品がいくつかのメーカーから出ていますので列挙してみます。
- ddHiFi のDJ44K
現状こちらが一番入手性が高く、また価格も一番お手頃でおススメです。
内部配線についても、公式サイトの記載によれば下記の様にこだわっている的な記載がありました。
It uses the typical ddHiFi OCC cable for the internal connecting wire, which was soldered with silver-containing solder, so as to ensure lossless transmission of the audio signal.
- PW Audioのシリーズ
結構高いですが、入手性には問題ありません。
こちらは横から4.4mmジャックが出てくるタイプ
- AKA For AK’s 4.4mm Adapter
こちらは↑に比較すると手ごろですが、既に販売終了しているようで中古市場に出てくるのを待つしかない状況。


SP1000を選んだ理由:同価格帯の他製品との比較
本機をあえて2024年に購入したわけですが、中古価格で比較すると本機に搭載されたAK4497より新しく、ハイスペックなAK4499 / 4499EXをデュアル搭載したDAPと同じぐらいの価格になります。
しかし、実際に両方を使って比較した結果、以下の理由からSP1000を選ぶことにしました。
- プロダクトとしての美しさが全然違う
- デザイン性や質感が他のメーカーと比べて段違いに高いと思う。
- 安定性が違う
- 例えばFiio M15はWifiが非常に不安定で、Amazon Music HDなどのストリーミングサービスは使い物にならなかったです。
- 音質的に好み
- 単純な物量や、DACの世代では超えられないオーディオ製品としての作りこみや、音作りのポリシーが感じられる。正直下記で紹介する2機種に比べてノイズの少なさや測定性能では負けてますが、ちゃんと高いオーディオ機器っぽい音がするんですよね。
最後の点について、特に本機と中古価格で比較候補になった Fiio M15、 HibyMusic R6 Pro II との聴き比べ結果を以下に掲載しておきます。
Astell & Kern SP1000 vs Fiio M15
Fiio M15のほうが音の滑らかさは1枚上手に感じる。おそらく純粋にDACチップの実力差が出てしまっているポイントだろう。
しかしその一方で空間が狭くて、いろんな音源がごちゃっと近くの空間に集まっている印象。
一方SP1000は広い空間に立体的に音像が定位する感じがあった。多くの場合立体感や空間の広さを感じる音作りの場合、低域の物足りなさを感じがちだが、そのような感じなのが好印象。雑にまとめると機材としてのランクが違う感じがする(発売当初の価格は2倍以上)。
ただ、一点大きく劣る点は動作中のホワイトノイズ。IER-Z1Rでは問題を感じなかったものの、SE846のような比較的感度の高いイヤホンでは少し聞き取れる程度のノイズが乗る。特にストリーミングサービスを使用している時は通信中のノイズが大きいようだ。ダウンロードが終わって再生する段階になるとうまいこと再生できる印象がある。
Fiio M15 vs HibyMusic R6 Pro II
どちらもイヤホン(SE846)直挿しでノイズは聞き取れないほどノイズが少ない。しかし聴感上のS/N≒透明感は明らかにR6 Pro II の方が上。また全体的に音に立体感がある印象。
しかし明らかに高域偏重の音。良くも悪くも音源のざらついた部分や声のいわゆる「サ行」がそのまま突き刺さってくる印象。加えて低域のスケール感が圧倒的に足らず、ノリが悪い。イヤホンをちゃんとならせていないのかもしれない。
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