PA27AC(Thunderbolt搭載・デイジーチェーン接続対応モニタ)を、古いディスプレイ(EIZO EV2736)とデイジーチェーン接続しようとしたところ、ハマりました。
対処方法を発見したので、メモとして記載しておきます。
起きた問題
EIZO EV2736W (2014年発売)とデイジーチェーン接続を試みました。
Thunderbolt 出力(PA27AC)- Displayport入力(EV2736W)の接続は、こちらを使用しました。
こんな感じのシステムとなります。

この構成で、デフォルト設定のままだとPCが当ディスプレイ( EV2736W )を認識せず、映像がでませんでした。
解決方法
PA27ACの、Displayport設定をデフォルト値から変更します。
「System Setup – Displayport Stream」から、「DisplayPort V1.1」に指定します。


https://penpen-dev.com/pc/displayport-deizi-tye-nn/
https://www.eizo.co.jp/support/compati/monitor/daisychain_guide/index.html
にあるように、
末端のディスプレイ以外は「DisplayPort 1.2をON」にして使うのが普通ですが、この組み合わせでは 敢えて”V1.1”を選ぶ ことがポイントです。
EV2736W は DisplayPort 1.1 まで対応のディスプレイだから、かもしれません。
HDMI(DVI)接続も可能となった
EV2736にはDVI入力(HDCP対応)もあるため、こちらに接続した際も同様の問題が起きました。
具体的には以下のアダプターを用いて、2つ目のThunderbolt から HDMI化 → HDMI- DVI変換ケーブルを使って接続している状態です。
こんな感じのシステムとなります。

しかし、先ほどと同じくPA27AC側の設定変更をすることで、こちらもデイジーチェーン接続ができるようになりました。
さいごに
無事デイジーチェーン接続ができるようになりました。
もちろん、起動中にノートPCからThunderboltを抜き差ししても大丈夫です。

Thunderbolt一本つなげば、ノートPCの充電・外部マウス・キーボード・デュアルディスプレイすべてが動作する状態になり、すっきり&快適です!
このようにちょっと癖はありますが、2021年12月現在、Thunderbolt搭載のデイジーチェーン接続対応ディスプレイとしては最安レベルなので、おススメです。
2026/4 追記:Thunderbolt4 対応PCとの相性問題
Thunderbolt 4 用のケーブルを試してみよう!
Thunderbolt4 対応のPC(CF-SR4RDAAS)と接続したところ、2枚目のディスプレイ(EV2736W)から映像が出なくなってしまいました。この問題はThunderboltケーブルをPA27AC付属のケーブルから、Thunderbolt4 対応のものに変更すると解決しました。
PA27ACに付属するThunderboltケーブルは、⚡(雷マーク)の下にThunderbolt の対応バージョンが記載されていないものだったので、下記HanpenBlog様の情報を踏まえると「Thunderbolt 3 20Gbps パッシブケーブル」であった可能性が高いです。つまり、Thunderbolt3用のケーブルではダメっぽいということです…
なぜこれでうまくいくのか…?
背景1:付属ケーブルを使うと通信速度が20Gbpsに制限される
モニターに付属していた少し長め(0.8m以上)のThunderbolt 3パッシブケーブルを、最新のThunderbolt 4対応機器に繋ぐと、規格の後方互換性の仕様により、伝送帯域幅が最大40Gbpsから半分の「20Gbps」に制限されるようです。
背景2:Thunderboltのデイジーチェーン特有の仕様がある
通常のDisplayPortケーブルでデイジーチェーンを構築する場合、DisplayPortの「MST(Multi-Stream Transport)」という技術が使われます。これは1つの伝送路に複数の映像ストリームを多重化して送信する仕組みです。WQHD解像度の実効ペイロード(実際の映像データ量)は1台あたり約5.6Gbps程度であるため、MSTを用いて2台分を送信しても、20Gbpsの帯域幅があれば十分に収まります。
しかし、ASUS PA27ACのようなThunderbolt 3対応モニターをThunderboltケーブルで接続した場合、MSTではなく「デュアルDPトンネリング」という技術が用いられます。これは、1つの伝送路にデータを混載するのではなく、モニターごとに独立した「DisplayPortトンネル(論理的な伝送経路)」を2つ確立する仕様です。
接続確立時、PCとモニター間で「リンク・トレーニング」というネゴシエーションが行われます。この際、現在の解像度に必要な実データ量ではなく、「両者のハードウェアが対応する最大スペック」を基準にリンクレート(通信速度の規格)を確定させる仕様となっています。今回のケースでは、PA27ACがDisplayPort 1.2に対応しているため、最大リンクレートである「HBR2(High Bit Rate 2)」を要求し、これによって17.28Gbpsのリンク帯域が占有されます。
今回のケースで起きること
ASUSモニターに内蔵されたThunderboltコントローラーは、以下のように先ほどのDPトンネルをルーティング(経路制御)します。
1つ目のDPトンネル = 自機のディスプレイパネルに出力する。
2つ目のDPトンネル = 内部でパススルー処理を行い、デイジーチェーン用の出力端子(DisplayPort等)から2台目のモニターへ転送する。
PC側はモニターからの要求を受け、独立した2つのDPトンネルを確立しようと試みます。しかし、HBR2(17.28Gbps)のリンクをThunderboltパケットとしてカプセル化(管理データ等のオーバーヘッドを付加)すると、トンネル1つあたり約18Gbpsの実帯域を消費します。したがって、物理ケーブルの伝送帯域が20Gbpsに制限されている状態では、1つ目のトンネルを確立した時点で帯域が枯渇します。
その結果、PC側のThunderboltコントローラーは「帯域幅不足」と判断し、2台目のモニターへ向けた2つ目のトンネルの確立を諦めます。これにより、ASUSモニターの出力端子には映像信号がルーティングされず、2台目のモニターが映らないという現象が発生します。
そこで今回のように、40Gbpsの伝送帯域をフルに発揮できる「Thunderbolt 4対応ケーブル(または0.8m未満のTB3アクティブケーブル)」を使うことで、約18Gbpsのトンネルを2つ同時に確立できるため、正常にデュアルディスプレイ環境が構築可能となります。
なぜ古いPCでは問題が起きなかったのか?
Thunderbolt 3世代のコントローラーは、
Thunderbolt 4向けの最新のIntelコントローラーに対して動作が柔軟(妥協的動作を許す仕様)だったから
Thunderbolt 3 世代の古いコントローラーは、帯域幅が20Gbpsに制限され足らなくなると、自律的に「勝手に色深度を落とす」「見えないところでリフレッシュレートを下げる」「パイプの太さを強制的にHBR1にダウングレードする」といった処理を行い、無理やり20Gbpsの限界内に2台分の映像データを詰め込んで出力することがあるようです。
一方今回接続したようなThunderbolt 4対応のPCは、Intelの規格認証が厳格になっており「ハードウェアが要求する規定の帯域幅が確保できず、ユーザーに約束した本来の品質が担保できない場合は、勝手に画質を落とすのではなく接続そのものを遮断する」というポリシーに変更されています。PCを最新モデルに変更した途端に出力できなくなった理由は、まさにこの「コントローラー世代間の品質担保ポリシーの違い」に起因すると考えられます。

コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 【PA27AC… あわせて読みたい ASUS製モニター(PA27AC)を古いディスプレイとデイジーチェーン接続する時… […]
[…] あわせて読みたい ASUS製モニター(PA27AC)を古いディスプレイとデイジーチェーン接続する時のメモ PA27AC(Thunderbolt搭載・デイジーチェーン接続対応モニタ)を、古いディスプレイ […]