こんにちは。複数のヘッドホンアンプ / DAC を使い分けて楽しんでいる@tako2takoです。
私と同様、複数の機材を使っている方は入力切り替えどうされていますか?
最近はXLR入力しかないヘッドホンアンプも多い一方、USBDACやCDプレーヤー等ソース機器にはRCA出力しかなかったり、安価なXLRのラインセレクタ―がなくてお悩みの方もいるのではないでしょうか。
Lu〇manとかAudi〇designとか、〇RBとか高いですよね…
今回はそんなときに便利な、XLR – RCA変換器 兼 ラインセレクタ―である Nobsound Little Bear MC3 について内部写真と共にレビューします。
当機非常に便利でおススメなのですが、一部のXLR出力機器との組み合わせて使いにくい仕様があるため、その修正方法についてもまとめています。ご参考になれば。
こんな人に読んでほしい
- 安価なXLR対応ラインセレクタ―を探している
- Nobsound Little Bear MC3がオーディオ用途に使えそうか検討している
- Nobsound Little Bear MC3を持っていて、XLR入力のCOLDがRCA出力のGNDとショートする仕様になっており困っている
Nobsound Little Bear MC3 とは
XLR×2、RCA×1の、3入力3出力のラインセレクタ―です。
Amazonで9000円程度で売っています。
正面に2つのつまみがあり、操作することで入力元と出力先を切り替えられます。
入出力は以下のような内訳になっています。
- 入力:XLR×2、RCA×1
- 出力:XLR×2、RCA×1
正面にあるつまみを操作することで、図のように3つの入力から1つを、3つの出力先から1つを選べます。
ソース機器・アンプが複数台ある場合の切り替えに便利です。
この時状態によっては、XLR – RCAが相互に変換されます(例:IN: XLR1、OUT: RCAなど)。つまりXLR ⇔ RCAの変換器としても機能します。
XLR ⇔ RCAの変換が行われる場合「バランス伝送」ではなくなります。
その他XLRラインセレクタ―の選択肢
XLR ⇔ RCAの変換機能が不要な場合、同社のMC303がオススメです。
こちらは3系統のXLR入力・出力を切り替えることができます。
XLR ⇔ RCAの変換機能だけでなく、出力先切り替え機能も不要な場合は、同社のMC103 Proがあります。
こちらは3系統のXLR入力を切り替えられ、価格もより安いです。
例えばソース機器が複数台あり、アンプは1台、という状況で役に立ちそうです。
ちなみに、AudioDesign社製の同等品がこちらです。6倍弱程度の値段しますね…。
逆に、入力元の切り替えが不要な場合には、こちらの1入力3出力タイプが使えます。
例えばソース機器が1つで、アンプが複数台ある状況で役立ちそうです。
AudioDesign社製の同等品がこれです。
使用感
音質については、私の使っている機材では有り無しでの違いはわかりませんでした。
また切り替え時のノイズ等も感じられませんでした。
質感は、値段の割に良いと思います(もちろん上に挙げたAudioDesign社製のものには劣ります)。
正面はプラスチック部品のようですがノブ、筐体は金属となっており、重量感があります。
またXLRコネクタはすべてノイトリック(Neutrik)社製のものです。当コネクタは1つでもそれなりの値段しますから、搭載している個数を考えるとお買い得だと思いました。
使い勝手ですが、スイッチを切り替えるだけなので特に難しい点や不便な点はありません。
ただし重量感があるとはいえ、太いケーブルを何本も接続すると、さすがに重心が後ろに行ってしまいます。場合により重りを乗せるなどの対策が必要でしょう。
内部構造
多数の写真と共につくりをレビューします。
まず、内部へのアクセス方法ですが、両サイドにあるねじのうち上部にある2つをそれぞれ外します。すると上部の金属カバーが取れます。
図はカバーをとったところです。左側が入力、右側が出力端子になっています。左からXLR入力、RCA入力、RCA出力、XLR出力、の順です。
各コネクタは小基板に実装されており、そこから前面のスイッチ基板へ向かって白い線材で接続されています。
このように基板と線材の接続はコネクタであり、信号経路内の接点が増えていると考えられます。
より高級なセレクタでは(おそらく接点を増やすことを嫌って)端子から直接スイッチへはんだ付けしてあったりしますから、こうした機材と比べると当機のつくりは見劣りする印象です。
しかし配線長は短いですし、配線もそこそこ太くてしっかりしているので、個人的にはまぁ許容範囲かなと思いました。
両サイドにあるねじのうち下部・スイッチがある側の2本のネジを外し、コネクタを抜くとこのように切り替えスイッチが実装された基板が取り外せます。
XLR INのCOLDがRCA OUTのGNDとショートする仕様 の修正法
当機はAmazonの販売ページに記載があるように「入力:XLR、出力:RCAの場合でも、入力のCOLDピンが出力のGNDとショートする」仕様となっています。
*XLR to RCA or RCA to XLR convert rule is:HOT= “+”,COLD +GND =”-“
https://www.amazon.co.jp/ONE-Little-Bear-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97XLR%E3%81%8B%E3%82%89RCA%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81/dp/B00OY0TBMA
しかしこの仕様では、ソース機器のXLR出力が故障する可能性があります。
理由はケーブル工房TSUKASA様のHPの説明がわかりやすいです。
8.変換ケーブルで特に注意が必要なこと
XLR→RCA変換ケーブルでは、特に注意しなければならないことがあります。
それは、XLRプラグ側のCOLD端子の扱いです。
XLRプラグ側のCOLD端子は、未接続(オープン)になっていないと、接続する機器の出力回路を壊してしまう可能性がありますので、これは必須です。実は古い機器でトランスを使用したXLR出力回路を搭載したものは、COLD端子をGNDに落とさないと正しく音が出ないということがあり、一部のXLR→RCA変換ケーブルや変換プラグで、COLD端子をGNDに接続しているものもあります。
ケーブル工房TSUKASA,「【ケーブル使いこなしノウハウ集】 No.4 変換ケーブル(XLR→RCA、RCA→XLR)の特徴について」https://www.cable-tsukasa.jp/new/2021-06-16-211802.html
しかし、現在の機器の殆どは、XLR出力回路が電子化されていますので、COLD端子がGNDに接続されていると過大な電流が流れて、電子回路が壊れてしまう可能性があります。
よって、特にXLR→RCA変換ケーブルでは、XLRプラグ内でCOLD端子が未接続(オープン)になっているものを、使用することが大切です。
※因みにケーブル工房TSUKASA様のHPでは、XLR – RCA変換の仕組みについて、詳細かつ分かりやすく解説されているのでオススメです。
XLR – RCA変換についてわかってない部分がすっきりするよ。
ちなみに RCA⇒XLRへの変換については、COLDピンもGNDとショートでOK(むしろショートすべき)だよ!
上記を踏まえ「XLR入力のCOLDをRCAに出力するときはGNDとショートしない」ようにする改造を行いました。以下具体的な方法を解説します。
改造箇所
上蓋を取り外し、コネクタを抜いて、こちらの基板だけの状態にします。
この画像で左側のパターンを改造します。
左側の円の第2象限、第3象限にある「1」ピンが、ベタアースとショートしているので、この部分が浮く(ショートしない)ようパターンをカットします。
はんだを吸うだけだとうまくいかなかったので、保証はなくなってしまいますがパターンカットとしました。予想ですがピンがスルーホールに接触して導通してしまうのだと思います。
処理後のイメージはこんな感じです。
パターンカットには下記のようなカッターを使うことが多いですが、お手持ちのカッターでも問題ありません。
出力側スイッチを「RCA」に回した状態で、「−」表記のあるピンがベタアースと導通していないことをテスター等で確認しましょう。
念のため、組み立て後入力側スイッチを「XLR1」「XLR2」、出力側スイッチを「RCA」にした状態で、図に示す各XLR入力のCOLDピンと、RCAのGNDが導通していないことを確認しておきます。
上記改造の解説
上記改造方法に至るまでのメモを記載しておきます。
※改造して使いたいだけであればこの節を読む必要はありません。
シルク表記の意味を理解することが重要です。
シルク表記の意味と基板の動作
当基板のコネクタは、図で示す入出力端子に対応しています。
この時、シルク印刷の1,2,3は下記の入出力に対応しています。
表記 | 出力(左側) | 入力(右側) |
1 | RCA OUT | XLR IN 1 |
2 | XLR OUT A | XLR IN 2 |
3 | XLR OUT B | RCA IN |
したがって、出力側(左)の第二象限(Left, ー)にある「1」ピンは、RCA OUT L のGNDと接続されていることになります。
入出力共に「+」「-」表記は、HOTとCOLDに対応しています。また、1,2,3の数字と、「+」「-」の間に線がありますが、これはスイッチが一番左の時に導通するピンの組を表しています。
つまり、右側のスイッチで3つの入力からHOTとCOLD信号を選択し、中央のパターンを通って、再度左側のスイッチでどのコネクタに信号を出力するかを選択しているのです。
従って、例えば出力側のスイッチ(左側)を「RCA OUT」(=1)とした場合、
- RCA OUT L の信号線(+)が入力L(HOT)と接続
- RCA OUT L のGND(ー)が入力L(COLD)と接続
- RCA OUT R の信号線(+)が入力R(HOT)と接続
- RCA OUT R のGND(ー)が入力R(COLD)と接続
されることになります。
パターンカットが必要な理由
上記を踏まえてスイッチ近傍のパターンを見てみると、RCA OUT のGND(1の-)がベタアースとショートしていることがわかります。しかしこのベタアースは、他の箇所でXLR及びRCAのGND端子と接続されています。
以上より、入力の「―」信号(=XLR入力時はCOLD信号)とRCA OUT のGNDがショートしてしまいます。
従ってこのパターンをカットすることで、RCA出力 かつ XLR入力時に、入力のCOLD信号がどこにも接続されない状態になります。
まとめ
使いやすく便利かつ、安価で質感もよいので結構おススメです。
仕様の難も本記事で示した改造で何とかなるので試してみてはいかがでしょうか。
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